着物ではなく、「人」に惹かれて決めた百花への入社
和久田:最初から着物業界を志望していたわけではないんです。
ただ、バックオフィスで働くより、お客様と直接関わる仕事がしたいという気持ちはありました。
人と話したり、目の前のお客様に自分自身が関わることで価値を提供したり。そういう仕事の方が自分には合っていると思っていました。
和久田:私が就職活動をしていたのはコロナ禍だったので、会社との接点もほとんどオンラインでした。
その中で、当時の部長とお話しする機会があったのですが、笑顔がすごく素敵で、人柄に惹かれたことを覚えています。
着物に興味があったからではなく、本当に「この人たちと働きたい」と思えたことが大きかったですね。
今でも社長や部長を尊敬しています。
振り返ってみても、単純にアパレル販売という選択をするのではなく、百花で高額な商品を扱いながら、お客様と深く関わる仕事を選んだことは良かったと思っています。

チーフに求められるのは、「まず自分が成果を見せること」
和久田:基本となるのは、着物の接客・販売です。
チーフになったからといって、仕事内容が大きく変わったわけではありません。
売上はもちろん、新規のお客様に対してどれだけ商品をご提示できたか、実際に着ていただけたか、購入の決定につながったかなど、一つひとつの数字を追っています。
そのためには、一度接客して終わりではなく、お客様と密に関わりながら、定期的にお店へ来ていただける関係をつくることが重要です。
和久田:店長ほど店舗全体のマネジメントを任されるわけではありませんが、役職者になった以上、より一層成果を求められていると感じています。
自分が数字をつくって、
「こうすれば成果につながるんだ」
という姿を、後輩や周囲のスタッフに見せていく。
まず自分自身がプレイヤーとして成果を出すことが、チーフとして大切な役割だと思っています。
お客様の「こだわり」を、自分も同じくらい大切にする
和久田:こだわりが強いお客様への提案が決まったときは、すごく嬉しいですね。
そういうお客様ほど、事前の準備を徹底します。
お客様がどんな色や柄が好きなのかを聞くだけではなく、
「なぜそれが好きなんですか?」
「以前、どんなものを選ばれたんですか?」
と、その背景にあるエピソードまで聞いていきます。
そこで大切にしているのが、お客様が大事にしていることを、自分も同じように大事にすること。
お客様の好みに共感して、価値観を理解したうえで提案することで、少しずつ信頼していただけるようになります。
和久田:あります。
普段そのお客様が選ばないような商品をご提案したときに、
「和久田さんが言うなら着てみようかな」
と受け入れていただけると、すごく嬉しいです。
高額な商品を扱っているので、商品知識だけで売れるわけではありません。
「この人の提案なら聞いてみたい」と思っていただける関係性があって初めて、提案できる商品の幅も広がっていくと思います。


商品を売る前に、「どうすれば心が動くか」を考える
和久田:催事の場合は特に、事前に販売戦略を考えます。
ただ商品を並べて、「何か気になるものはありますか?」と聞くわけではありません。
このお客様には何をご提案するのか。
どんな順番で商品をご覧いただくのか。
どういう会話から入り、最終的にどんな体験をしていただきたいのか。
お客様ごとに販売のストーリーを描いてから接客します。
今は当たり前のように考えていますが、これは入社してから教育を受け、実践を重ねる中で身についたものですね。
営業というと「話すのが上手な人が売れる」と思われるかもしれません。
でも実際には、その場で話すこと以上に、お客様を理解して、どこまで事前に考えられるかが大切だと思います。
「頼ってくれたのに、応えられなかった」が一番悔しい
和久田:自分自身の販売よりも、後輩のフォローに入って結果につなげられなかったときですね。
今はチーフなので、自分より経験の浅い社員やパートスタッフから頼ってもらうことがあります。
お客様とのコミュニケーションをサポートしたり、着物について補足説明したり、お客様が少し警戒されているときに言葉を添えたり。
クロージングの場面に入ることもあります。
だからこそ、フォローしても結果につながらなかったときは、
「頼ってくれたのに、期待に応えられなかった」
という悔しさがあります。
自分の成果だけを追っていた頃とは、仕事に対する責任の感じ方も変わってきましたね。

一人にしない。先輩から受けた育成を、今度は後輩へ
和久田:かなりフォローしてもらいました。
特に印象に残っているのが、接客でいきなり一人にされることがなかったことです。
呉服業界で10年以上経験しているベテランスタッフや店長が近くにいて、お客様への振る舞いを見てくれていました。
接客後には、
「さっきの言い方はこうした方がいいよ」
「ここではこう動いた方がいい」
とフィードバックをもらっていました。
本当に細かな所作まで指摘されることもありました。
当時はそこまで重要性を理解していなかった部分もありますが、今振り返ると、その細かさが高額商品を扱う接客にはすごく重要だったと思います。
和久田:かなり活きています。
私自身がその場ですぐフィードバックしてもらったからこそ、今も後輩の接客で気になることがあったら、後回しにせず伝えるようにしています。
会社からも以前から責任感について評価していただいていました。
お客様に対して誠意を持って対応することも含めて、そういう日々の姿勢を見てもらえたことが、今のチーフという役割につながっているのかなと思います。


「言われたことをやるだけ」では、成長できなかった
和久田:一番変わったのは、自分で考えて動くようになったことですね。
入社当初の私は、言われたことはちゃんとやるタイプでした。
でも逆に言えば、「言われていないことを自分からやる」ということがあまりできていなかった。
百花の接客では、お客様によって正解が違います。
だから、「これをやっておけば大丈夫」というマニュアルだけでは成果を出せないんです。
一人ひとりのお客様を見ながら、
「この方には何をしたら喜んでもらえるんだろう?」
と、自分で考えてアクションする必要があります。
そこに慣れるまで、私は結構時間がかかりました。
2年目の空回り。「自分が正しい」だけでは足りなかった
和久田:1年目は研修期間という感覚もあったので、私の中では「勝負は2年目から」と思っていました。
そこで自分なりに考えて動き始めたのですが、今度は結構空回りしました(笑)。
当時は、自分で「これが正しい」と思ったことをやっていたんです。
でも今振り返ると、すごく自分本位だったと思います。
お客様から見たとき、私は「和久田個人」であると同時に、「百花というお店のスタッフ」でもあります。
自分の行動一つが、お店そのものの評価につながる。
そこまで考えられていませんでした。
和久田:今は自分だけではなく、周りがどうすれば働きやすくなるかまで考えるようになりました。
必要であればマニュアルを用意したり、後輩が困っていないかを見たり。
「自分が成果を出せばいい」というところから、「店舗として成果を出すにはどうすればいいか」という考え方に変わったと思います。
成果につながり始めた3年目。そこで初めてスイッチが入った
和久田:3年目くらいですね。
正直、入社してから「簡単にできた」と思える時期は一度もありませんでした。
でも3年目になって、ようやく自分で考えて起こしたアクションが、成果につながる感覚が出てきたんです。
そこで、
「もっと頑張ってみよう」
と、自分の中でスイッチが入ったように思います。
だから今は、若いうちからどんどんチャレンジしていいと思っています。
すぐに成果が出なくても、最初の3年くらいは下積みだと思って、試行錯誤する。
自分なりに創意工夫して、やり続けること。
それが後から大きな差になってくると思います。

目標は、百花初の「女性店長」
和久田:まずはチーフになったばかりなので、今任されている役割をしっかり全うすることです。
その先では、店長を目指したいと思っています。
百花にはまだ女性の店長がいないので、できれば私が一人目になりたいです。
まだ男性が中心になっている部分もあるので、
「女性でも店長として活躍できる」
ということを、自分が成果を出すことで見せていきたいですね。
和久田:5年以内を目標にしています。
ただ、役職に就くことだけが目的ではありません。
売上でしっかり店舗に貢献して、周囲から信頼される店長になりたい。
自分自身が成果を出しているからこそ、後輩からも「この人についていきたい」と思ってもらえると思っています。
成果でも、人としても、信頼される店長。
そこを目指していきたいです。



